機械設計技術者試験は意味ない?取得するメリットや転職での評価を解説
「機械設計技術者試験を取得しても意味がないのではないか」と、受験を迷っている人もいるでしょう。機械設計技術者試験は、機械設計の仕事に就くうえで必須の資格ではありません。しかし、機械工学の基礎知識を体系的に学び、学習成果を示す手段として活用できます。
本記事では、機械設計技術者試験が意味ないと言われる理由や取得するメリット、1級・2級・3級の違いを解説します。機械設計エンジニアを目指している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
|機械設計技術者試験は受けなくても働けるが取得する価値はある
機械設計技術者試験を受けなくても、機械設計エンジニアとして働くことは可能です。資格の取得が就業条件ではないため、資格をもっていない人でも機械設計の求人へ応募できます。
一方で、機械工学の知識を体系的に学び、自分の知識レベルを示したい場合は、取得を目指す価値があります。試験勉強では、材料力学や機械力学、機械製図など、機械設計に必要な幅広い分野を学べるからです。
特に、実務経験から知識やスキルを示しにくい未経験者には、基礎学習に取り組んだ成果となります。経験の浅い技術者が、学生時代に学んだ内容や実務で曖昧だった知識を学び直す際にも役立つでしょう。
受験するか迷ったときは、資格の有無だけで判断せず、転職に活用できるか、知識の習得など、自分の目的に役立つかを検討することが大切です。
以下の記事では、機械設計エンジニアの仕事内容や役立つスキル・資格について紹介しています。
関連記事:機械設計エンジニアの仕事内容|平均年収ややりがい、役立つスキル・資格も紹介
|機械設計技術者試験が「意味ない」と言われる3つの理由
機械設計技術者試験は必須資格ではなく、資格だけで実務能力を示せないことから、意味がないと言われる場合があります。機械設計技術者試験が「意味ない」と言われる主な理由は、以下の3つです。
- 国家資格・公的資格ではない
- 資格がなくても機械設計の仕事はできる
- 資格だけでは実務経験や設計スキルを証明しきれない
資格の位置づけや実務で重視される能力を確認し、受験する価値があるかを判断しましょう。
国家資格・公的資格ではない
機械設計技術者試験は、国家資格や公的資格ではありません。取得しても、法律上の独占的な権限が与えられるわけではなく、資格がなければ担当できない業務もありません。また、取得後にどの程度評価されるかは企業によって異なります。資格そのものに強い効力を期待すると、意味がないと感じる可能性があるでしょう。
ただし、試験勉強を通じて機械設計に必要な知識を幅広く学べるので、基礎固めを目的とする人には活用できます。
資格がなくても機械設計の仕事はできる
機械設計技術者試験に合格していなくても、機械設計の仕事には就けます。資格の取得は就業の必須条件ではなく、資格保有を応募条件としていない企業であれば、無資格でも応募が可能です。この点から、資格取得を転職の絶対条件と考える必要はありません。
一方、未経験者は設計実績から知識やスキルを示せない場合があります。資格取得を通じて基礎知識を学んだ事実は、機械設計を目指して準備していることを伝える材料になるでしょう。
資格だけでは実務経験や設計スキルを証明しきれない
試験に合格しても、実際の設計業務を1人で遂行できると証明できるわけではありません。現場では、製品の仕様を設計へ落とし込む力やCADの操作、設計上の課題に対応する力などが求められます。試験で確認される知識と、実務を通じて培う経験は異なるものです。
特に経験者の転職では、資格の有無だけでなく、担当した製品や設計工程、使用したCAD、プロジェクトでの役割なども評価されます。資格は実務経験を補足する材料として活用しましょう。
以下の記事では、機械設計の将来性や後悔しないキャリアの選び方について紹介しています。
関連記事:機械設計はやめとけ?理由や将来性・向いている人の特徴・後悔しないキャリアの選び方を解説
|それでも機械設計技術者試験を取得する4つのメリット
機械設計技術者試験は、基礎知識の習得や転職時のアピールなど、目的にあわせて活用できる資格です。機械設計技術者試験を取得する主なメリットは、以下の4つです。
- 機械設計に必要な基礎知識を幅広く学べる
- 自分の知識や技術力を客観的に示せる
- 昇進・昇給や資格手当につながる場合がある
- 転職で基礎知識や学習意欲をアピールできる
必須資格ではありませんが、知識の習得やキャリア形成に活用できます。
機械設計に必要な基礎知識を幅広く学べる
機械設計技術者試験の勉強を通じて、設計に必要な基礎知識を幅広く学べます。機械設計では、主に以下の知識が必要です。
- 材料力学
- 機械力学
- 熱力学
- 流体力学
- 機械要素
- 製図
独学では得意な分野に学習内容が偏る場合がありますが、試験対策では出題範囲に沿って複数の分野を学習できます。学生時代の学習内容を復習したい人や、未経験から機械設計エンジニアを目指す人が、基礎を体系的に身に付ける方法として役立つでしょう。
自分の知識や技術力を客観的に示せる
機械設計技術者試験に合格すると、試験で求められる範囲の知識を身に付けていると客観的に示せます。単に「機械工学を勉強した」と説明するだけでは、採用担当者や上司が知識の範囲を判断しにくいです。資格があれば、一定の基準に基づく試験へ合格した事実を提示できます。
特に、未経験者や担当した製品や設計実績を十分に示せない若手技術者にとっては、自ら学んだ内容を形に残し、学習成果を伝える手段として活用できるでしょう。
参考記事:20代エンジニアが転職を成功させる方法|失敗の原因や成功のポイントも解説
昇進・昇給や資格手当につながる場合がある
勤務先の評価制度によっては、機械設計技術者試験の取得が昇進や昇給、資格手当につながる場合があります。企業が資格を能力開発の指標として扱っていれば、合格した実績を社内評価に活かせるでしょう。ただし、資格手当の有無や対象となる級、昇進・昇給への反映方法は企業ごとに異なります。
社内評価を目的として受験する人は、人事制度や資格取得支援制度を事前に確認してください。取得後に得られる評価を把握したうえで、受験を判断することが大切です。
転職で基礎知識や学習意欲をアピールできる
機械設計技術者試験は、転職時に基礎知識や学習意欲を伝える材料となります。未経験から機械設計へ転職する場合は設計実績がないので、応募書類だけでは知識や準備状況を示しにくいでしょう。資格を取得していれば、機械設計に必要な分野を自主的に学んだ姿勢を説明できます。
ただし、資格だけで採用が決まるわけではありません。志望動機やこれまでの経験と結びつけ、学んだ知識を入社後の仕事にどのように活かしたいかまで伝えることが重要です。
以下の記事では、機械設計エンジニアの転職戦略やキャリアプランについて紹介しています。
関連記事:機械設計エンジニアの転職戦略|主な仕事内容やキャリアプラン・市場動向を紹介
|機械設計技術者試験とは?1級・2級・3級の違い

機械設計技術者試験は、実務経験や担当する設計工程に応じて、受験する級を選ぶことが大切です。機械設計技術者試験には、以下の3つの級があります。
- 3級|実務経験なしで未経験者も受験できる試験
- 2級|計画設計を担う技術者を対象とした試験
- 1級|基本設計を担う経験豊富な技術者を対象とした試験
級によって想定される技術者の経験や担当する設計工程が異なるので、自分の経験に合うものを選びましょう。
3級|実務経験なしで未経験者も受験できる試験
3級は実務経験がなくても受験できるので、機械設計の未経験者が挑戦しやすい試験です。機械設計に関する基礎知識を確認する位置づけであり、これから設計職を目指す人や、学校で学んだ機械工学の知識を整理したい人に向いています。実務経験を応募書類で示せない人は、基礎学習へ取り組んだ成果としても活用できるでしょう。
ただし、3級だけで実務能力まで証明できるわけではないので、現場で設計経験を積む必要があります。
2級|計画設計を担う技術者を対象とした試験
2級は、機械の計画設計を担う技術者を対象とした試験です。
計画設計とは、求められる性能や条件を踏まえ、機械の構造や仕様を具体化する設計工程を指します。3級よりも実務を意識した位置づけとなっており、設計経験を積みながら知識を整理したい人に適しています。
受験を検討する際は、必要な実務経験を含む受験資格の確認が必要です。自分の経験年数や担当してきた業務を振り返り、受験条件を満たしているかを確かめましょう。
1級|基本設計を担う経験豊富な技術者を対象とした試験
1級は、基本設計を担う経験豊富な機械設計技術者を対象とした上位の試験です。
基本設計では、製品に求められる機能や性能を踏まえ、全体の構造や主要な仕様を決めます。機械工学の知識に加え、設計業務で培った経験も踏まえて受験を検討する級といえるでしょう。
未経験者が最初に目指す級ではありません。設計経験を重ねた技術者が知識や技術力を整理し、今後のキャリアアップにつなげたい場合に適しています。
|機械設計技術者試験は転職で評価される?
機械設計技術者試験は転職時のアピール材料になりますが、資格だけで評価が決まるわけではありません。転職時の評価は、応募者の実務経験によって変わります。
- 未経験者は基礎知識を示す材料になる
- 実務経験者は資格だけでなく設計経験や実績も重要になる
- 履歴書・面接では資格取得の目的と実務への活かし方を伝える
未経験者は学習成果を示す材料として、経験者は設計実績を補足する資格として活用しましょう。
未経験者は基礎知識を示す材料になる
未経験者にとって機械設計技術者試験は、機械設計の基礎を学んでいると示す材料になります。
実務経験がなければ、担当製品や設計実績を職務経歴書でアピールできません。その分、転職に向けた準備状況を別の方法で伝える必要があります。資格を取得すれば、必要な知識を自主的に学んだ事実を提示できるでしょう。
異業種や機械設計とは異なる専攻から転職する場合は、志望動機と資格取得を結びつけると、設計職を目指して取り組んだことを具体的に説明できます。
実務経験者は資格だけでなく設計経験や実績も重要になる
実務経験者の転職では、資格の有無だけでなく、これまでの設計経験や実績も重要です。企業は経験者を採用する際、入社後に担当できる業務や活かせるスキルを確認します。職務経歴書には、以下を記載しましょう。
- 担当した製品・機械
- 携わった設計工程
- 使用したCAD
- プロジェクトでの役割
機械設計技術者試験は、設計に関する知識を補足する材料として活用できます。資格と実務経験を組み合わせて示すことで、自分の強みや対応できる業務を伝えやすくなります。
履歴書・面接では資格取得の目的と実務への活かし方を伝える
履歴書や面接では、資格名だけでなく、取得した目的や実務への活かし方も伝えましょう。採用担当者は、資格をもっている事実に加え、学んだ知識を入社後の業務へどのようにつなげるのかも確認します。
未経験者なら、機械設計への転職準備として基礎知識を体系的に学んだと説明できます。経験者の場合は、実務で曖昧だった知識を整理し、担当業務に活かす目的で取得したと伝えられるでしょう。
自分の経験と資格取得の背景を一貫して説明することが大切です。実際の求人内容をご覧いただくことで、より働くイメージをおもちいただけます。
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|機械設計技術者試験を受ける意味がある人
機械設計技術者試験は、次のような人に向いています。
- 未経験から機械設計エンジニアを目指す人
- 機械設計の基礎知識を体系的に学び直したい人
- 昇進や資格手当など社内評価につなげたい人
- 将来的に上位資格や技術士を目指したい人
未経験者は、3級の勉強を通じて材料力学や機械製図などの基礎を学べます。実務経験を示せない段階でも、資格を取得すれば、基礎学習に取り組んだ成果を提示できるでしょう。
経験者にとっても、機械設計の知識を体系的に学び直す機会となります。また、勤務先の評価制度で資格が評価される場合は、昇進や資格手当につながる可能性があります。
将来的に上位資格や技術士を目指す人にも、現在の知識を整理する機会として役立つでしょう。転職や知識の習得、社内評価などの目的を明確にし、資格取得が目標の実現につながる場合は、受験する意味があります。
|機械設計技術者試験より実務経験を優先したほうがよい人
機械設計技術者試験よりも実務経験を優先したほうがよい人は、以下のとおりです。
- 資格取得の目的が明確になっていない人
- CADや設計業務の実務経験が不足している人
- 転職先で求められるスキルが資格と一致していない人
すでに機械設計の仕事に就ける環境がある場合は、資格の勉強よりも現場で経験を積む選択肢があります。実務では、以下を通じて実践的なスキルを身に付けられます。
- 要求仕様の理解
- 設計変更への対応
- CADの操作
- 製造部門との調整
特に経験者の転職では、資格の有無だけでなく、担当製品や設計工程、使用したCADなどの実績も重要です。転職先が資格より実務能力を重視している場合は、設計経験を積むことが評価につながるでしょう。学習に使える時間が限られている人は、資格取得と実務経験のどちらが現在のキャリア目標に直結するかを基準に判断してください。
|機械設計技術者試験に合格するための勉強方法

機械設計技術者試験の勉強では、現在の理解度を把握し、知識が不足している分野を重点的に学ぶことが大切です。機械設計技術者試験に合格するための主な勉強方法は、以下の3つです。
- 過去問を解いて出題傾向と苦手分野を確認する
- 4大力学や機械製図など基礎科目を学び直す
- 公式教材や参考書を使って独学する
最初に過去問で現在の理解度を確認し、苦手な基礎科目を重点的に学びましょう。
過去問を解いて出題傾向と苦手分野を確認する
試験勉強を始める際は、まず過去問を解き、出題傾向と自分の苦手分野を確認しましょう。最初から参考書を順番に読むと、すでに理解している分野にも時間を使うことになります。過去問に取り組めば、知識が不足している分野を把握し、学習の優先順位を決めやすくなります。
正解したかどうかだけでなく、解答に必要な公式や考え方を説明できるかも確認してください。間違えた問題は関連分野まで復習し、再度解いて知識を定着させましょう。
4大力学や機械製図など基礎科目を学び直す
基礎知識に不安がある人は、4大力学や機械製図などを重点的に学び直しましょう。4大力学とは、以下の4分野であり、機械工学の基礎となる知識です。
- 材料力学
- 機械力学
- 熱力学
- 流体力学
公式だけを暗記せず、力や熱、流体が機械に与える影響まで理解すると、問題へ応用しやすくなります。
機械製図についても、図面で使われるルールや表現の意味を確認してください。試験対策で終わらせず、設計業務にも活かせる知識として身に付けることが大切です。
公式教材や参考書を使って独学する
自分で学習計画を立てられる人は、公式教材や参考書を使って独学で試験対策を進められます。教材を選ぶ際は、受験する級の出題範囲に対応しているかを確認し、過去問と組み合わせて活用しましょう。参考書を読むだけでは知識が定着しにくいので、問題演習を繰り返すことが大切です。
分からない問題があれば、該当する分野を教材で復習してから、再び同じ問題に取り組んでください。学習と演習を繰り返し、苦手分野を1つずつ減らしましょう。
|機械設計技術者試験以外に機械設計で役立つ資格
機械設計のキャリアに役立つ資格は、機械設計技術者試験だけではありません。たとえば、CADの知識を身に付けたい場合と、技術者として専門性を高めたい場合では、適した資格が異なります。目的に応じて、以下の資格を検討してください。
- CAD利用技術者試験
- 技術士・技術士補(機械部門)
機械設計で役立つ資格は複数あるので、身に付けたい知識や将来のキャリアにあわせて選びましょう。
CAD利用技術者試験
CADを使った設計の知識を身に付けたい人は、CAD利用技術者試験を選択肢に入れられます。CADとは、コンピューターを用いて図面や設計データを作成するシステムです。機械工学を幅広く扱う機械設計技術者試験とは異なる方向から、設計に役立つ知識を補えます。
ただし、資格を取得しただけで、実務に必要な操作スキルをすべて証明できるわけではありません。資格勉強とあわせてCADを実際に操作し、図面を作成する経験も積むことが重要です。
技術士・技術士補(機械部門)
機械分野の技術者として専門性を高めたい人は、技術士・技術士補も検討できます。技術士は高度な専門知識や応用能力が求められる国家資格であり、機械部門も設けられています。機械設計技術者試験とは資格の位置づけや求められる能力が異なるので、単純な代替資格として比較するのは適切ではありません。
基礎知識を固めたい段階なのか、実務経験を積んで専門性を高めたい段階なのかを整理し、将来のキャリアに合う資格を選びましょう。
以下の記事では、機械設計のキャリアプランやキャリアアップに必要なことについて紹介しています。
関連記事:機械設計のキャリアプラン|考え方やキャリアアップに必要なこと、転職のコツを紹介
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機械設計技術者試験は、機械設計に必要な知識を体系的に学び、学習成果を示す手段として活用できます。必須資格ではありませんが、未経験者が基礎知識を身に付けたい場合や、経験者が知識を学び直したい場合には取得する価値があるでしょう。
一方、機械設計エンジニアのキャリアでは、資格取得だけでなく、現場で実務経験を積むことも重要です。資格を取得してから求人を探す方法に加え、現在の知識や経験で応募できる求人を確認し、働きながら設計スキルを高める選択肢もあります。資格を取得するか迷っている人は、自分が希望する求人で求められる経験やスキルを確認してみましょう。
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