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機械設計にAIを活用する方法とは?メリット・注意点や今後求められるスキルを解説

機械設計にAIを取り入れる動きが、製造業の現場で急速に広がっています。図面作成やシミュレーションといった専門的な業務も、AIの力を借りれば未経験からでも短期間でキャッチアップできる時代になりました。AIを上手に活用すれば、現場作業から設計職へのキャリアアップも決して夢ではありません。
本記事では、AIの活用法から注意点、これから求められるスキルまで、転職や将来のキャリアを考えるうえで押さえておきたいポイントを詳しく解説します。機械設計エンジニアを目指している人は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 機械設計ではAIをどのように活用できる?
  2. 機械設計にAIを活用するメリット
  3. 機械設計でAIを活用するときの注意点
  4. AIによって機械設計者の仕事はなくなる?
  5. AI時代の機械設計者に求められるスキル
  6. 機械設計者がAIを効果的に活用するためのポイント
  7. Next Engineerで機械設計エンジニアの求人を探そう

機械設計ではAIをどのように活用できる?

AIは、資料の確認から設計案の検討、強度や動作の検証まで、機械設計に関わる幅広い作業を支援します。設計者が時間をかけていた作業を効率化できれば、設計条件の整理や最終判断など、人の知識や経験が必要な業務に集中しやすくなるでしょう。機械設計におけるAIの主な活用方法は、次のとおりです。

  • 技術資料の検索・要約
  • 仕様書・設計資料の作成
  • マクロやプログラムのコード作成
  • 設計条件に合う形状・寸法の検討
  • シミュレーションによる強度・動作検証

それぞれの作業でAIをどのように活用できるのか、詳しく解説します。
関連記事:機械設計エンジニアの仕事内容|平均年収ややりがい、役立つスキル・資格も紹介

技術資料の検索・要約

AIを活用すると、必要な図面や技術資料を探す時間を短縮できます。機械設計の現場では、大量の資料から目的に合う情報を見つけるだけでも時間がかかります。AIを搭載した設計支援ツールであれば、類似する図面を自動で探したり、資料の必要な部分を抽出して要約したりすることが可能です。
資料確認の負担を抑えることで、設計条件の検討や形状を考える作業に、より多くの時間を使えるようになります。

仕様書・設計資料の作成

AIは、仕様書や設計資料を作成する際の作業支援にも活用できます。近年のCADにはAIや機械学習を活用した機能が組み込まれているケースもあり、部品の自動配置や部品同士の衝突を調べる干渉チェックなどを行えます。手作業で確認していた工程を自動化すれば、資料作成にかかる時間を減らし、確認漏れも防ぎやすくなるでしょう。
ただし、AIが処理した内容が常に正しいとは限らないため、設計者による最終確認が欠かせません。

マクロやプログラムのコード作成

繰り返し発生する定型作業を自動化するためのマクロやプログラムも、AIを使って作成できます。ボルトやナットの組み合わせを予測する処理や、決められた手順を繰り返す仕組みを、従来より短い時間で用意しやすくなります。
これまで初心者が時間をかけて習得していた作業をAIに任せれば、設計者は条件の整理や設計案の比較など、判断が必要な業務に集中できるでしょう。
ただし、作成したコードが意図したとおりに動くかは、人による確認が必要です。

設計条件に合う形状・寸法の検討

AIは、設計条件に合う形状や寸法を検討する場面でも活用できます。ジェネレーティブデザイン※では、以下の条件を入力すると、AIが数千パターンの形状案を数分で計算します。

  • 必要な強度
  • 固定する位置
  • 使用する材料
  • 許容できる重さ
  • 目標コスト

人が1つずつ案を作る場合より多くの選択肢を比較でき、人の発想だけでは思いつきにくい形が見つかる可能性もあります。
※設計条件を入力すると、AIが最適な形状を自動で複数提案する設計手法

シミュレーションによる強度・動作検証

AIは、設計した部品や機械の強度、動作をシミュレーションする際にも役立ちます。複数の設計案を検証し、条件に合う案を絞り込むことで、実物を作る前に問題を発見しやすくなるでしょう。一方で、データ上では成立していても、実際の設備では加工できない形が提案される場合があります。
溶接による歪みや組み立て時の隙間など、シミュレーションだけでは判断しにくい点もあるため、現場を知る設計者による確認が必要です。

機械設計にAIを活用するメリット

機械設計にAIを活用すると、作業時間を短縮できるだけでなく、設計案の比較やミスの発見、新しい形状の検討にもつながります。AIが得意とする処理を任せることで、設計者は専門的な判断が必要な業務に取り組みやすくなるでしょう。
機械設計にAIを活用する主なメリットは、次のとおりです。

  • 図面作成や修正などの定型作業を効率化できる
  • 複数の設計案を短時間で比較できる
  • 設計ミスを減らして品質向上につなげられる
  • 試作回数を抑えて開発期間やコストを削減できる
  • 従来の発想にとらわれない設計案を検討できる

AIを取り入れることで得られるメリットを、それぞれ見ていきましょう。

図面作成や修正などの定型作業を効率化できる

AIを活用すると、図面の作成や修正に伴う定型作業を効率化できます。AI機能を備えたCADでは、部品の自動配置や類似図面の検索、ボルトとナットの組み合わせの予測などが可能です。これまで設計者が1つずつ確認していた作業をAIが処理することで、作業時間を短縮できます。
定型作業の負担が減れば、設計条件の検討や問題への対応など、人による判断が求められる業務に時間を割きやすくなるでしょう。

複数の設計案を短時間で比較できる

AIを使えば、複数の設計案を短時間で作成し、条件ごとに比較できます。ジェネレーティブデザインでは、強度や固定位置、材料、重さ、コストなどを指定すると、条件を満たす形状の候補が自動的に生成されます。人が1つずつ設計案を作成する場合と比べて、検討できる選択肢を増やせる点がメリットです。
AIが示した案を性能や製造性などの視点から比較することで、目的に合う形状を効率よく絞り込めます。

設計ミスを減らして品質向上につなげられる

AIを搭載したCADの機能を活用すれば、設計上のミスを早い段階で発見しやすくなります。部品同士がぶつからないかを調べる干渉チェックでは、人が見落としやすい衝突も自動で検出できます。設計段階で問題に気付ければ、修正や組み立てのやり直しを減らせるでしょう。
ただし、工具を入れる隙間や溶接による歪みなど、現場の経験がなければ判断しにくい問題もあります。AIと人の確認を組み合わせることで、品質向上につながるでしょう。

試作回数を抑えて開発期間やコストを削減できる

AIによる設計案の作成やシミュレーションを活用すると、試作前に形状や強度を検討しやすくなります。必要な強度や材料、重さ、コストなどの条件を設定することで、複数の候補について性能や条件への適合度を効率よく確認できます。設計の初期段階で候補を絞り込み、問題を修正できれば、実物を作って確認する回数を抑えられるでしょう。試作や修正にかかる作業が減ることで、開発期間の短縮やコストの削減につながる可能性があります。

従来の発想にとらわれない設計案を検討できる

ジェネレーティブデザインを活用すると、人の経験や従来の形状にとらわれない設計案を検討できます。AIは、強度や固定位置、材料、重さ、コストなどの条件をもとに、多数の形状を自動で計算します。その中には、人が思いつきにくい骨格や構造が含まれる可能性もあるでしょう。
航空機や自動車の軽量化設計では、従来とは異なる形状を生み出す方法として活用されています。AIの案を参考にすることで、設計の選択肢を広げられるでしょう。

機械設計でAIを活用するときの注意点

AIは機械設計の作業を支援する便利な技術ですが、出力された情報を確認せずに使用すると、設計不良や情報漏えいにつながる可能性があります。AIを設計者の代わりではなく、設計を支援する道具として扱う姿勢が重要です。

機械設計でAIを活用するときの注意点は、次のとおりです。

  • AIの出力を物理法則や規格に照らして検証する
  • 図面や製品情報などの機密データを入力しない
  • 最終的な設計判断と品質への責任は設計者が担う

安全かつ効果的にAIを活用するために、それぞれの注意点を確認しましょう。

AIの出力を物理法則や規格に照らして検証する

AIが提案した設計案は、物理法則や規格に照らして設計者が検証する必要があります。データ上では成立しているように見えても、実際の設備では加工できなかったり、決められた精度に収まらなかったりする場合があります。溶接の熱による歪みや、組み立て時に部品が入らないといった問題も考えられるでしょう。
AIの出力をそのまま採用するのではなく、材料や加工方法、精度などを確認し、実際に製造できる設計か判断することが重要です。

図面や製品情報などの機密データを入力しない

外部のAIサービスを利用する場合は、図面や製品仕様などの機密情報を安易に入力してはいけません。機械設計で扱う資料には、社外に公開できない製品情報や技術情報が含まれている可能性があります。情報管理を確認せずに入力すると、意図せず外部へ情報が漏れる事態につながりかねません。
AIに入力できる情報の範囲は会社ごとに異なるため、社内ルールを確認し、判断できない場合は上司や情報管理の担当者へ相談してから利用しましょう。

最終的な設計判断と品質への責任は設計者が担う

AIが複数の設計案を提案しても、採用する案を決め、品質に責任をもつのは設計者です。工具が入る隙間を確保できているか、メンテナンス時にネジを回せるかといった実務上の判断は、AIだけでは対応できない場合があります。実際に材料を加工し、製品を組み立て、不良品を確認してきた人の経験が必要になる場面も少なくありません。
AIは設計判断を助ける道具として活用し、最終確認は設計者自身が行うことが大切です。

AIによって機械設計者の仕事はなくなる?

AIによる自動化が進んでも、機械設計者の仕事がすべてなくなるわけではありません。図面修正などの定型作業はAIに置き換わる可能性がありますが、顧客との調整や製造性の判断には、人の知識と経験が求められます。AIによる影響を考える際は、次の点を押さえておきましょう。

  • 図面修正などの定型業務は自動化が進む可能性がある
  • 顧客の要望をくみ取る仕事は人による対応が必要になる
  • 性能・コスト・製造性を踏まえた判断は設計者が担う
  • 前例のない問題に対応する発想力や経験は代替されにくい

AIが担える業務と、人に求められる役割の違いを解説します。

図面修正などの定型業務は自動化が進む可能性がある

決められた手順で進められる図面作成や修正は、今後さらに自動化が進む可能性があります。すでにAI機能を搭載したCADでは、部品の自動配置、類似図面の検索、ボルトやナットの組み合わせの予測などが可能です。これまで初心者が時間をかけて覚えていた作業も、AIを活用すれば短時間で処理できます。
機械設計者の仕事がなくなるというより、定型作業をAIに任せ、設計者が担当する業務の内容が変わっていくと考えられます。

顧客の要望を汲み取る仕事は人による対応が必要になる

AIに設計案を作らせるには、顧客の要望を整理し、具体的な条件として入力しなければなりません。必要な強度や固定位置、使用する材料、許容できる重さ、目標コストなどを決める作業は、人が担う必要があります。顧客のあいまいな要望を聞き取り、何を優先してどこを調整するのか判断することも設計者の役割です。
相手の意図を正確にくみ取り、AIが扱える数値や基準へ落とし込む力は、今後も求められるでしょう。

性能・コスト・製造性を踏まえた判断は設計者が担う

AIが計算した形状が、実際の製造現場で採用できるとは限りません。データ上では優れた性能をもつ形でも、工場にある旋盤やフライス盤では加工できない可能性があります。溶接による歪みや必要な精度、製造にかかるコストなども考慮しなければなりません。
性能だけでなく、コストや作りやすさを含めて設計案を評価し、採用する形状を決めるのは設計者です。AIの計算結果と現場の条件を結び付ける役割が重要になります。

前例のない問題に対応する発想力や経験は代替されにくい

過去の事例だけでは判断できない問題に対応するには、設計者の発想力や現場経験が必要です。AIは物理的な動きについて、正しいように見える誤った結果を出す場合があります。工具が狭い隙間に入るか、組み立てられるか、メンテナンス時にネジを回せるかといった点は、実務経験がなければ気付きにくいでしょう。
実際の加工や組み立て、不良品への対応を通じて得た知識はAIに代替されにくく、設計者の重要な強みになります。以下の記事では、機械設計エンジニアのキツさや対処法について紹介しています。
関連記事:機械設計エンジニアで「ついていけない」と感じる6つの理由|原因と対処法を徹底解説

AI時代の機械設計者に求められるスキル

AIを機械設計に活用するには、ツールを操作する力だけでなく、AIの出力を評価するための専門知識が必要です。さらに、顧客や製造部門と条件を整理し、AIへ正確に伝える力も求められます。AI時代の機械設計者に必要な主なスキルは、次のとおりです。

  • 材料や機構、力学などの機械設計に関する知識
  • CADやシミュレーションツールを扱うスキル
  • AIに適切な条件や目的を伝える力
  • 顧客や製造部門と認識を合わせるコミュニケーション力
  • AIの提案をもとに解決策を考える力

AIを設計業務に活かすために、身に付けたいスキルを確認しましょう。

材料や機構、力学などの機械設計に関する知識

AIが出した設計案の妥当性を判断するには、材料や機構、力学などの基礎知識が欠かせません。実際の設備で加工できる形か、溶接の熱で歪まないか、決められた精度に収まるかといった点は、機械設計の知識をもとに評価する必要があります。基礎知識が不足していると、AIが出した誤った結果にも気付けない可能性があります。
AIに作業を任せられる範囲が広がるほど、出力内容を正しく検証できる設計者の専門性が重要になるでしょう。

CADやシミュレーションツールを扱うスキル

AIの機能を設計業務で活用するには、CADやシミュレーションツールを扱うスキルが必要です。AI機能を備えたCADでは、部品の自動配置や類似図面の検索、干渉チェックなどを行えます。シミュレーションツールを使えば、設計案の強度や動作も実物を作る前に確認できます。
ただし、機能を理解していなければ、適切な条件を設定したり、結果を正しく読み取ったりできません。基本操作とAI機能の両方を身に付けることが大切です。

AIに適切な条件や目的を伝える力

AIから目的に合う提案を得るには、必要な条件や設計の目的を具体的に伝える力が必要です。ジェネレーティブデザインでは、強度、固定位置、材料、重さ、コストなどの条件によって、計算される形状が変わります。条件があいまいなままでは、実際の要望に合わない設計案が出る可能性もあります。顧客の希望や製造上の制約を整理し、数値や基準としてAIへ入力することが、適切な設計案を得るうえで重要です。

顧客や製造部門と認識を合わせるコミュニケーション力

機械設計者には、顧客や製造部門と設計条件について認識を合わせる力が必要です。顧客が求める性能やコストを確認するだけでなく、製造部門から加工方法や組み立て上の制約を聞き取らなければなりません。AIが提案した形状も、実際の工場で加工できなければ採用できないため、関係者との調整が重要になります。あいまいな要望や現場の知見を整理し、設計条件として共有するコミュニケーション力は、AI時代にも欠かせません。

AIの提案をもとに解決策を考える力

AIの提案をそのまま採用するのではなく、設計上の課題を解決するために活用する力も求められます。AIは設定した条件に応じて複数の設計候補を示せますが、どの案が目的に合うかを決めるのは設計者です。強度や重さだけでなく、コスト、加工方法、組み立てやすさ、メンテナンス性なども考慮する必要があります。
AIが示した複数の選択肢を比較し、現場の知見を加えながら実現可能な解決策へ調整することが重要です。以下の記事では、機械設計エンジニアの転職戦略について紹介しています。
関連記事:機械設計エンジニアの転職戦略|主な仕事内容やキャリアプラン・市場動向を紹介

機械設計者がAIを効果的に活用するためのポイント

AIを効果的に活用するには、すべての設計業務を一度に任せるのではなく、適した作業から段階的に取り入れることが大切です。AIの出力と過去の設計データ、現場の知見を組み合わせることで、実務に活かせる提案へつなげられます。

機械設計者が押さえておきたいポイントは、次のとおりです。

  • 定型作業から段階的にAIを取り入れる
  • 過去の設計データや現場の知見と組み合わせる
  • AIの活用ルールや確認体制を整える

AIを安全かつ効果的に取り入れる方法を、それぞれ解説します。

定型作業から段階的にAIを取り入れる

AIを導入する際は、決められた手順で進められる定型作業から任せると取り入れやすくなります。類似図面の検索、部品同士の干渉チェック、ボルトやナットの組み合わせの予測などは、AIが処理しやすい作業です。まずは結果を確認しやすい業務で使い方に慣れ、問題なく活用できることを確かめながら対象を広げましょう。段階的に導入すれば、AIの得意な作業と人が判断すべき作業を整理しやすくなります。

過去の設計データや現場の知見と組み合わせる

AIが提案した設計案は、過去の設計データや現場で得た知見と組み合わせて評価することが重要です。データ上では成立する形状でも、工場にある旋盤やフライス盤では加工できない場合があります。工具が入る隙間を確保できるか、メンテナンス時にネジを回せるかといった点も確認しなければなりません。
AIの計算結果を土台としながら、過去の設計事例や加工、組み立ての経験を加えることで、実現可能な設計案へ調整できます。

AIの活用ルールや確認体制を整える

AIを安全に活用するには、利用できる情報の範囲や出力内容の確認方法を、あらかじめ決めておく必要があります。AIは正しいように見える誤った結果を出すことがあるため、確認せずに設計案を採用してはいけません。溶接による歪みや精度、加工の可否などを誰が確認するのか、チーム内で役割を明確にしましょう。
機密情報の入力に関するルールも共有し、人による確認を必須にする体制を整えることが大切です。

Next Engineerで機械設計エンジニアの求人を探そう

AIは、技術資料の検索や設計資料の作成、形状・寸法の検討、シミュレーションなど、機械設計のさまざまな業務に活用できます。定型作業を効率化し、複数の設計案を短時間で比較できるため、設計品質の向上や開発期間、コストの削減にもつながるでしょう。
一方で、AIが提案した設計案が、物理法則や規格、実際の加工条件に合っているとは限りません。図面や製品情報などの機密データの取り扱いにも注意し、最終的な設計判断と品質への責任は設計者がもつ必要があります。
AIを設計者の代わりではなく、業務を支援する道具として活用し、現場の知見と組み合わせることが大切です。
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